8月月報

●CSとRM

「こちらに非はないと思っていても、100%の確証があるわけではない。どこまでお客様の目線での対応をすればいいのか?」

もちろん、クレームはCS(顧客満足)対応が基本です。ご指摘・ご不満・ご要望が、企業やお店にとって貴重な情報源になることも事実であり、サービス向上や業務運営に役立てられるケースは枚挙にいとまがありません。

顧客の心理に目を向け、クレームの裏にある不安やコンプレックス、こだわりなどを汲み取る。これが、クレーム対応で最初に求められる目線。お客様の気持ちに親身なって「気配り・目配り」することが『CS』の基本です。

 

一方で、何が起こるか分からない不安な時代に、しっかり企業・店舗を運営していくためには『RM』(リスクマネージメント危機管理)の考え方も不可欠なのです。

金品や特別扱いを要求する悪質クレーマーに屈していては、常習化し業務運営に支障をきたすことになります。

クライシスに陥らないためにも、CSからRMへの切り替えを事前に準備し、クレーム対応中も意識しておく必要があるのです。

 

●情報過多社会

情報を得ようとして(が多すぎて)混乱している現実にも気付いてほしい。相手に気を配り過ぎると、心も目も手も「パソコンやスピーディーな社会への対応」で、使い過ぎて疲れきっている。

具体的に言うと、RMの領域で「気・目・心」を配っていては、相手のペースにはまってしまいます。モードをチェンジしたら焦点を絞り、クレームの内容ではなく、クレーマーの「言葉」と「態度」に注目するのです。

 

●逆手に取る技術

経験したことのない猛暑が続いた今年の夏、四国の四万十市では観測史上最高の41度を超えた。

こんなニュースを聞きながら「立秋とは名ばかりで実態と合わない。季語も考え直さなくてはいけない時代だな・」「雨がほしいな・・・ひと雨でも・・」と思いながら甲子園の球児たちを観ていた。するといきなり速報が流れ、アナウンサーが叫んでいる。「これまで経験したことのない豪雨です!!」

猛暑も豪雨・爆弾低気圧の激しさも、これまでの経験が通用しない。まさに先の見えない不安な時代の到来である。押しつぶされ心が折れそうになるが自然環境には抗いようもないが、ものは考えよう。

四万十市は暑さを逆手にとってPRし、地元の直売所は最高の売り上げを記録したという。
「ようこそ日本一のあついまちへ」。小学生が夏休みの課題で作った手作りの看板がネットに流れニュースでも紹介される。費用はかけなくてもネットを使えば、良いニュースも悪いニュースも瞬く間に拡散される。

情報化時代は何事も“逆手に取るぐらいのしたたかさ”が必要なのかもしれない。

情報過多に流されず、悲観や心配し過ぎてもはじまらない。地に足をつけてしっかり踏ん張り生きて行く。

 

●タガの外れた輩には、常識人はたかが知れている

クレーム対応において最善の回答を導き出すという姿勢は、一見すると合理的に思えますが、悪質なクレームの場合は必ずしもそうとは言い切れません。なぜなら、クレーマーの悪意や「心の闇」を完全に理解しようというのは、どだい無理な話だからです。そもそも、クレームに対して百点満点の解決を目指すことは、過度なプレッシャーをもたらし、それが判断ミスにつながることになるのです。

 頭脳明晰なエリートほど、この陥穽にはまりやすい。それは日頃、つねに完璧な「正解」を求めているからですが、クレーム対応では数式どおりにはいかないのが現実です。

明らかに悪質クレーマーだと見極めたら、相手のペースに巻き込まれないように余計な情報をシャットアウトすること、自ら「視界」を狭めて(耳を閉じ)しまうのである。

たとえば、クレーマーから執拗にいやがらせの電話がかかってくる。

「どうしてくれるんだ!」受話器を耳に当てていると、鼓膜が破れそうになる。

そんなときは、相手の言うことを一言一句漏らさず聴こうなどと思ってはいけない。反対に、受話器を耳から遠ざけてしまえばいい。怒鳴り声を“逆手にとれば”それまで身がすくむほど恐ろしかった罵声が、ちょっと耳障りな雑音ぐらいに感じるはずだ。