理不尽で自己中心的なクレームが増えている件

理不尽で自己中心的なクレームが増えている。プライドが高くインテリ型の「筋論モンスター」や定年退職した団塊世代「シルバーモンスター」などだ。
担当者を疲弊させる要因は彼らとの直接的な対応だけではない。些細なミスや対応の遅れが、スマートフォンおよびソーシャルメディアを通じて瞬時に広められてしまう“二次被害”も多数発生している。
加えて、メディアや世間の目は、企業や行政機関、病院などの「組織」に対して厳しく、ひとたび問題が生じると「ブラック企業」の烙印を押され、バッシングの対象になるケースは少なくない。
一方、個人であれば、消費者、市民、患者というひと括りの「弱者」となる。企業・組織は、社会性や公共性を意識して弱腰にならざるをえず、業績にも大きな影響を与えてしまう“超リスク社会”の到来だ。

●体制、構えを変えて対策

こうした中、企業や組織にはクレーマーを見極めるスキルと、初期の個人対応スキル、組織対応力を身につけるリスク回避能力が求められている。
クレーム対応のプロセスを、スキーのジャンプ競技に例えると。
まずは「ホワイトゾーン」、前屈みの低姿勢で風の抵抗を抑える。クレームでは、まずは誠意を持って対応することで相手の興奮を鎮め、大火事を防ぐ初期対応が必要だ。
次に「グレーゾーン」、落下の恐怖と戦いながら風に乗りますが、これは、相手の実態を把握するプロセスにあたる。正体を見極めるまでは、地に足がつかず、ハラハラ、ドキドキが続くが、正体を見極める(着地)までは安易に判断をしない。
そして、着地したときに、危険ライン「K点」を越えているかどうか。越えているなら、「クレーマー対応」に切り替える。以下で、各プロセスでの対策を解説する。『別図参照』

初期対応で必要なテクニック
“D言葉”を封じ“S言葉”を使う

増殖するモンスターは、ある日突然、襲い掛かってくる。「責任者を出せ!」、「インターネットに書き込むぞ!」という怒鳴り声。だが、“大声で怒鳴る”という理由だけで“理不尽な要求をするモンスタークレーマー”と決めつけた対応をしてしまうと、企業や製品、サービスの問題点を見落としてしまうことになりかねない。
ホワイトゾーンでは「性善説」から入り、少しでも顧客の怒りを抑え、問い合わせをしてきた目的と内容を聞き出す努力が必要だ。
そのために必要な初期対応のテクニックが“傾聴と共感”だ。相手の主張を素直かつ冷静に聞き、非があれば丁重にお詫びする姿勢で臨まなければならない。
初期でありがちなミスが、「だから」「ですから」「でも」という“D言葉”を使って、自分たちの論理で反論や言い訳すること。これでは、「言いくるめられてたまるか」と闘争心を刺激してしまう。
加えて、クレーマーは逃げようとするほど追いかけてくる。担当者に逃げ腰な姿勢を感じとると、怒りのトーンが上がり、攻撃を強めるからだ。子羊を演じながら、「そうなんですね」「失礼しました」「すいませんでした」などの“S言葉”を使い、事実確認に徹するのがコツだ。メモをとりながら5W1Hの事情聴取をすれば、しっかり実態を把握することができるはずだ。

消費者スキージャンプ)